ぬりえ

時は金なり

「皆さま、一息つきましょう。3時のおやつの時間です。今日はシュークリームですよ。」

食いしん坊の私なら、甘い物が出てきたら我慢できずに、すぐに食べてしまうのですが…。

写真の利用者様方は、シュークリームが目の前にあっても色鉛筆を持つ手がなかなか止まりません。

「あと少し、ここまでやろう」と一生懸命にぬり絵に取り組む様子が写っています。

一方、S様は「ここにくると落ち着いて読めるのよ。」と本のページをめくりながらおっしゃいました。

家にいるとお庭の草や家の中の諸々の事が気になり、ゆっくり読書する暇がないのだそうです。

滝町デイケアにいらっしゃる日は、ご自宅から本を持参され”本の虫”となっておられるのです。

この日の愛読書は、ご友人からすすめられた一冊「九十歳。何がめでたい」でした。

主婦として長年ご活躍されてきたからこそ、少しの時間も無駄にせず、時間を上手く使う習慣がついていらっしゃるのでしょう。

「時は金なり」ということわざを、身をもって示して下さっています。

光と影

 

三田デイケアご利用者様のおひとりに、絵を描く仕事をしていた方が見えます。

複数の持病の上に脳梗塞で半身麻痺が残り、半側空間無視があります。

 

 

利用開始当初、絵に心得があるのなら…と職員はぬり絵を勧めてみました。

力ない薄い色。半分ぬりかけで止めてしまう日々が続きました。

 

半側空間無視で左側の認識が出来ない為にいつも半分ぬりかけなのか?

気力が長く続かず半分で尽きてしまうのか?

 

職員は左への意識を高めようと、半分で終わるぬり絵の続きを勧めましたが

「これでいいんだよ」と。

 

リハビリを続け、少し力が付いてきた頃、ぬり絵の色が濃くなってきました。

 

 

あれ、この絵。

光があたっているみたいだね。

 

職員の一人がようやく気が付きました。

 

 

「そうだよ。濃淡で光があたってるところを出しているんだよ」

 

 

 

私たちはたびたび、自分の知識や経験でしか物を見ることが出来なくなります。

 

自分のポリシーを貫き、寡黙にぬり絵を続けた利用者様に学び反省しました。

 

 

 

 

今ではこの方の作品の展示を楽しみに入所棟から観に来られるファンもみえます。

最新の作品には何やら独自の文字らしきものが…

 

“ひげ文字”だそうです。

「鐘馗(ショウキ)さんに合わせて書いたんだよ」

 

 

まだまだ学ぶことは多そうです。

これぞ芸術!

寡黙なAさんの特技、それは・・・

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そう「塗り絵」です。

普段から真剣に取り組まれています。

色を混ぜ合わせるなど、これぞプロの技!

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お見事!

芸術作品が完成しました。

好きな事に夢中になれる幸せがすごく伝わって来ました。

これからも大好きな塗り絵を頑張ってくださいね。