ゴーグル、耳当て?
リストバンド、アンクルバンド、紺色のベスト??
杖???
「あんた、大丈夫か?どうしただ?!」
明らかにいつもと様子が違う職員をご覧になった利用者様が、心配して声を掛けてくださいました。

これは “高齢者体験”をしている場面です。
介護の現場で働く私達にとって、勉強の一環です。

高齢者キットを全て身に付けると・・・誰もがこのような重装備になります。
利用者様の心身の状態を少しでも理解する為に、滝町デイケアの職員全員が体験しました。
ゴーグルをかけると・・・視界がせばまり、モヤモヤと霧がかかったようになりました。
目の前がぼんやりしてはっきり見えないので、歩くのが不安でたまらない。
白内障の症状を体験中!
耳当てをすると・・・相手の声が聞きづらく、何を話しているのかよく分かりません。
「何だって?もう一回言って。」と聞き返さずにはいられない。
でも相手に何回も聞くのは、何だか悪い気がするなぁ。
“耳が遠い体験”実施中。
リストバンドとアンクルバンドを付けて、ベストを着ると・・・おっ、重い!
足腰にずっしりくる~!
首に掛けたベルトを両膝に固定したら・・・膝が伸びない、腰を伸ばせない!
一歩を踏み出そうとすると、バランスを崩してヨロヨロ。
杖がないと歩けない。
たった5メートル歩いただけで、腰の辺りに違和感が出現。
歩くって大変なんだな。
~ 高齢者キットを身に付けてみたら色々な発見がありました。~
・歩きたくなくなるからずっと座っていたい!
・早く歩けって言われても、歩けないよ!
・動こうという気持ちはあるのに、自分の体が思うように動いてくれないから悲しくなる。
・何かにつかまらないと体がえらい!
・腰が痛いってつらいんだなぁ。
・相手の話が聞こえないと何だかつまらない。
今回の体験を通して一番の収穫は『利用者様は私達職員が思っている以上に、体を動かす為に一生懸命頑張っておられる』ということを知れたことです。
デイケアではトイレの往復だけでも、ご自宅でトイレに行く距離と比べたら何倍も歩かなければなりません。
帰る頃には・・・お顔には出さずにいてくださるけれど心身共にくたくたで早く家に帰って横になりたいだろうな。
「利用者様のお体の状態を理解するよう努め、お気持ちに寄り添いながら仕事をしていこう。」
職員それぞれが誓った日となりました。