三田デイケアご利用者様のおひとりに、絵を描く仕事をしていた方が見えます。
複数の持病の上に脳梗塞で半身麻痺が残り、半側空間無視があります。
利用開始当初、絵に心得があるのなら…と職員はぬり絵を勧めてみました。
力ない薄い色。半分ぬりかけで止めてしまう日々が続きました。
半側空間無視で左側の認識が出来ない為にいつも半分ぬりかけなのか?
気力が長く続かず半分で尽きてしまうのか?
職員は左への意識を高めようと、半分で終わるぬり絵の続きを勧めましたが
「これでいいんだよ」と。
リハビリを続け、少し力が付いてきた頃、ぬり絵の色が濃くなってきました。
あれ、この絵。
光があたっているみたいだね。
職員の一人がようやく気が付きました。
「そうだよ。濃淡で光があたってるところを出しているんだよ」
私たちはたびたび、自分の知識や経験でしか物を見ることが出来なくなります。
自分のポリシーを貫き、寡黙にぬり絵を続けた利用者様に学び反省しました。
今ではこの方の作品の展示を楽しみに入所棟から観に来られるファンもみえます。
最新の作品には何やら独自の文字らしきものが…
“ひげ文字”だそうです。
「鐘馗(ショウキ)さんに合わせて書いたんだよ」
まだまだ学ぶことは多そうです。